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第7話 今、あなたとの思い出にフィルタをかける

2012年12月21日 午後10時7分

「と・・・東京タワーが・・・!」

「消えている・・・!」

相馬とエリコの二人は東京タワーの下にやってきていた。

「まさか・・・こんな・・・」

呆然とするエリコを横目に、相馬は自らの心を責めていた。

「世界の発展のためだったとはいえ・・・僕たちは・・・僕と博士はなんて恐ろしい兵器をつくってしまったんだ・・・」

頭を掻きむしる相馬。
最も起きてはいけない事態が起きてしまった。
このままでは、世界が・・・滅びてしまう。

「・・・相馬さん。自分を責めないで」

「・・・エリコちゃん・・・」

「相馬さんは悪くないわ。
悪いのは、あの装置を兵器として使った組織の人たちよ」

「・・・」

「立ち上がってよ、相馬さん。
私たち、世界を救いに来たんじゃないの?」

「そうか・・・そうだったね・・・」


「フハハハハハハー!!!」

突然相馬の後ろから笑い声がした。

「相馬雄介、これは本当に素晴らしい兵器だな。
組織を代表して礼を伝えよう」

そこには、あの黒服の男と一緒に立つ、長身の男がいた。

「私が、トリムのボス、シマターカだ」

「お、お前・・・!
お前が博士やみんなを・・・!」

「待って相馬さん!!」

飛びかかろうとした相馬の肩を誰かが掴んだ!

「・・・な、奈々ちゃん!?」

「相馬さん、落ち着いて!
あなたたちと早く合流できて良かった・・・」

奈々は相馬たちを追いかけてきていたのだった。

「奈々ちゃん・・・
あいつが・・・あいつが・・・すべての首謀者だよ」

「分かってるわ。
ただ、あいつのバックには"TW-1"があるってこと忘れないで。
その気になれば、いつでも世界を壊滅させる、そんな狂気を持ったやつらよ」

「ハハハハハ、そうだったな。
お前らはTW-1を止めにきたんだったな」
さあ止めてみるが良い!!」

TW-1

そう叫んだ男は、相馬の前に、TW-1を見せた。

「そ、それは・・・!!」

「そう、TW-1だ。
もっとも、我々がお前の研究所から盗んだ時から、兵器として改良を重ねているがな」

「き、貴様ら・・・!!!」

「さあ、止めたいのだろう?」

「くっ・・・。エリコちゃん・・・。一か八かだ・・・。 あの歌を・・・!」

「分かりました。お父さんを信じてみます!」

「ほう、大沢博士の娘か。何をするつもりかね?」

「私は、お父さんから、TW-1を緊急停止させる暗号を教えてもらった。
私がTW-1、そして、あなたたちの野望を止める!!」

「フハハハハハ!!!では、歌ってみたまえ!!!
"キラキラボシ"を!!!」

「・・・くっ!!!
やはり、ばれていたか・・・!!!」

「マスターが停止コードを伝えたというのはウソじゃ無かったんだ・・・!!」

「フハハハハハ!!!
博士も笑わせる。TW-1を緊急停止させるコードが、まさか自分の娘の歌とはな。 しかも、キラキラボシとはお遊戯のつもりか?」

「くうっ・・・!!
ここまできて・・・!!」

「しかし、ここまで我々の謎に迫ったことは褒めてやろう。
たいした行動力と勇気だ。

まあ、勇気というものは、えてして、冷静さを失うための障害にしかならないがな。
フハハハハハ
ハーッハッハッハッハ!!

「ち・・・ちくしょう・・・!!」

「そうだ、お前たち、トリムに入らないか?
聞き分けの悪いところはあるが、それは我々の精神治療施設で治してやろう。
ここまで辿りついた、その行動力を称えてやろうではないか」

「誰がお前たちなんかの仲間になるか!
殺すなら殺せ!!」

「奈々ちゃん・・・ごめん・・・。
せっかく未来から来てくれたのに、結局未来を変えられそうにない・・・」

「ううん、大丈夫よ、相馬さん。
私が甘かっただけ。
私にもっと力があったなら・・・!!」

「まったく、聞き分けの悪いやつらだ。
ではお望み通り消してやろう。

但し、"TW-1"でな!!

「なっ!!!」

「先程東京タワーを消した時は、フルパワーの30%というところだったかな。
東京の町を消すついでだ。お前達も消してやる」

「馬鹿か!お前達も消えるぞ!!」

「馬鹿はどちらだ。TW-1を指向性の兵器に改造するくらい、我々の科学力なら造作ないことだ。
我々はTW-1の影響は受けん」

シュオオオオオオオ

「ふはははは、聞こえるか?
TW-1の中にエネルギーが蓄積されていく音を!」

「くっ・・・!!」

♪タリーララーララーララーララララーララ

「??
携帯の着信音・・・?」

「あっ・・・!中山教授からだわ!
相馬さんたちを追いかける前に中山教授の携帯を手渡されたの。
きっと私たちを心配して・・・」

「・・・中山教授、僕たちはもう・・・」

「えっ!!?」

「な、なんだ!?TW-1のエネルギー充填が止まった!
おい、どうしたのだ!?」

「シマターカ様、わ、分かりません!」

「シマターカ様!!
TW-1の動力系プログラムにウイルスが混入しているようです!!」

「ウイルス!!?だと!!?」

「緊急停止コードは解析し、もうセキュリティリスクは根絶したはずではなかったのか!?」

「そ、そうなのですが、なぜか、異変が突然・・・!!」

「くそ、役に立たんやつらだ!!」

「・・・トリムのやつら、どうしたのかしら・・・?」

「突然、TW-1の動作が止まったらしい・・・。
でも一体・・・なぜ・・・!?」


「・・・はっ!!」

「どうしたの!?エリコさん」

「奈々さん・・・私に20秒もらえる?
本当の解除コードが分かったの」

「本当の・・・」

「解除コード・・・!?」

「・・・分かったわ。
闘いなら任せておいて。
やつらの気を引きつける、その間に、エリコさんは、その解除コードを」

「奈々ちゃん・・・!!」

「相馬さん、あなたはエリコさんの側にいてあげて。
大丈夫よ、私にはアームシールドがあるから」

「お前達!私はこっちだ!!」

「ちいっ!!!あいつ逃げる気か!!!
そうはさせんぞ!!!」

「撃て!!撃てっ!!」

ドキューン!!ドキューン!!

「アームシールド発動!」

カンッ!!!

「くそっ、あの女、妙な技を使いやがって。
撃て、撃て、撃ちまくれ!!!」

「奈々ちゃん・・・!!頑張って・・・!!」

「・・エリコちゃん!?」

・・・すううう

私の心の中の関数 あなたとの想い出に フィルタをかける IF あなたを知らなければ こんなに切ない夜は 来ないのに

「ん!!?お前、なんだその歌は!!?」

「シ、シマターカ様!!!
TW-1の様子がおかしいです!!!
せ、制御ができません!!!」

「な、なんだと・・・!!!」

「・・・もうTW-1は起動しないわ。
私が止めたもの」

「なっ・・・!!何を言っている!!?」

「TW-1の本当の停止コードは、私のバンド「TARGET BLANK」の歌。
"私の心の中の関数"」

ブォォォォーン
ガシャッ

プシュウウウウウウウ

「く、くそ・・・!!!
T、TW-1が・・・!!!」

「や・・・やった・・・!!!
やったよ!エリコちゃん!」

「そ、そうだ、奈々ちゃんは!!」

ドキューン!!ドキューン!!

「く、な、なんだこいつ!!
弾丸が当たっているはずなのに、すり抜けやがる!!!」

「奈々・・・ちゃん!!?」

「エリコさん、相馬さん、TW-1を止めてくれてありがとう」

「奈々さん!!」

いつしか、奈々の身体は透き通っていた。

「・・・私ね、TW-1が動いている未来から来た人間でしょ?
だからね、TW-1が停止すると、歴史が変わって消えちゃうって分かってたんだ」

「えっ・・・!!!そ、そんな・・・!!」

「奈々さん、いやー!!!」

「二人とも心配しないで。
私、こうなること分かってて、過去にやってきたんだから」

「でもね、ただでは消えない。
シマターカ、あなたも一緒に歴史から消えてもらうわ!」

奈々は消えゆく身体で、両手に持った銃をシマターカに向けた。

「くっ!!!
未来だからなんだか知らんが、私をそんなもので倒せると思うな!!!」

そうシマターカが叫ぶと、トリムの兵士達がシマターカの周りを盾で囲み、守り始めた。

「フハハハハハ!!
私を倒す最後のチャンスも消えてしまったようだな!!
さあ、勝手に消えるが良い!!!」

「くっ・・・!!!」

「シマターカ様、お耳に入れたいことが」

その時、あの黒服の男が、シマターカの側に駆け寄った。

「んっ!!?なんだ、おま・・・」

ドキューン!!!

その銃声の音に、周りにいた誰もが言葉を失った。

次の瞬間、シマターカは倒れていた。

「な・・・なんで、あなたが・・・」

「お・・・お前は・・・!!」

そこには銃を握りしめた、黒服の男の姿があった。

「これで・・・未来は変わる・・・」

「あ・・・あなた、どうして・・・!!
あなたたちのボスじゃない!!!
それをあなた・・・!!」

「奈々、そろそろ記憶は戻り始めているのではないか・・・?」

「記憶・・・!!
はっ・・・!!」

奈々は消えゆく中、思い出した。
自身が過去へ送り込まれる際、書き換えられた一つの記憶のことを。

「お・・・お父さん・・・・!!」

「お・・お父さん!!?じゃあ、この男は・・・!!
須磨・・・孝弘・・・!!?」

「そう。私の名は須磨孝弘。
奈々の本当の父親だ。
奈々の記憶の中では死んだことになっているが、奈々のいた未来で、私はレジスタンスの一員だった。
奈々の記憶を消し、この世界に送り込んだのは未来のエリコと私だ」

「相馬君、色々と悪かった・・・。
私は直接博士の命を奪っていないとはいえ、すべては未来の歴史を変えるため・・・。
また、トリムのやつらに、私がスパイであるということはバレてはいけなかった」

「須磨・・・さん・・・」

「君に須磨さんと呼ばれると照れくさいな。
君は真由美の元恋人。
僕は君と直接会ったことはなかったが、真由美から君の話は色々と聞いていたよ。
やはり君は誰よりも勇敢だったね」

シュオオオオオオ

「おっ、私の身体も消え始めたようだ」

「お父さん・・・」

「奈々、おいで」

奈々は須磨の元へ駆け寄っていった。

「私たち、もうすぐ消えちゃうね・・・」

「なあに、親子二人なら、寂しくないさ」

「あ、でも、お母さんを未来に残してきちゃった」

「真由美なら分かってくれるよ」

「うん・・・そだね・・・」

「相馬君、エリコちゃん、この時代を・・・この時代の未来を頼んだぞ」

カチッ

須磨と奈々の二人は消えた。

「奈々さん・・・須磨さん・・・・」

♪トゥルルルル
トゥルルルル

その時、トリムの部下の携帯が鳴った。

「こちら、トリム、
おい、よく聞け、ボスが黒服のやつに・・・!!
んっ!!?どうした!!?
なっ!!?
わ、我々の基地が・・・!!!
それはほんとか・・・!!?

あ、あの男、トリムの本部を爆破していきやがった!!!」

「く、くそ・・・!!!急いで本部へ戻るんだ・・・!!」

その時、相馬は、須磨が消える瞬間手に持っていたスイッチのことを思い出した。

「そうか・・・あれは本部の爆破スイッチだったのか・・・」


「須磨さん・・・。これで・・・これで世界は救われたんでしょうか・・・」

「ああ、TW-1とボスを失ったあいつらには、もう勝機はないさ」

♪タリーララーララーララーララララーララ

「あ、奈々さんが持っていた中山教授の携帯が鳴ってる。教授からです」

「教授も心配してくれてるんだろう」

「・・・ねえ、エリコちゃん、
さっきの・・・さっきTW-1を止めた歌を教えてくれないかな」

「あの曲は"私の心の中の関数"。
私のバンドのオリジナル曲です」

「そうか、大沢博士は大人になってからのエリコちゃんの活動を遠くから見守っていたんだね。
だからあの曲を解除コードにした・・・」

「お父さん・・・」

「さあ、戻ろう。
中山教授が僕たちの帰りを待ってる」

「・・・はい!」

-そう、僕たちの未来は、僕たち自身がつくる。 どんなマクロもフィルタも必要無い。

東京エクセル物語 season2~CRISIS OF MACRO~ Fin

世界は相馬と奈々、そしてエリコの力によって救われた。

読者の皆さんはお気付きだろうか!?

実は、エリコの「私の心の中の関数」という歌が"TW-1"を緊急停止させる暗号だということは、第一話ですでに明らかにされていた!

第一話を思い出して欲しい。
相馬が最初に受け取った暗号の中に、「娘へ」というシートが存在していたことを。
あのシートこそが、博士がエリコに託した最後の暗号だったのだ。

ここで、君に最後の指令を与える。 第一話で託された「娘へ」というシートから、「私の心の中の関数」という暗号を導き出してみて欲しい。

我々は君の最後の挑戦を待っている・・・!

難易度: ★★★★★

この謎解きにチャレンジしていただけます。
謎解きにチャレンジされる方は、下記の「博士から受け取ったファイルをダウンロードする」をクリックしていただき、ファイルをダウンロード後、ファイル解凍後のフォルダに同梱されている「娘へ.xls」というファイルを開いてください。

そのファイルの中に、博士からの暗号「私の心の中の関数」という言葉が隠されています。
その暗号をあなたなりに導き出して下さい。

暗号が解けた方は、下記の解答応募フォームから解答をお送りください。
期間中に応募された正解者の方の中から、抽選で1名様に、iPad mini(16GBモデル)をプレゼントさせていただきます。

正解は商品の発送をもって代えさせて頂きます。

博士から受け取ったファイルをダウンロードする

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(今回の解答応募期間:2012年12月27日~1月27日)


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